記録から表現をつくる

残された記録を見る、あるいは記録をすることから新たな表現をつくるワークショップ。過去の記録をつかった表現を実践する人に話を聞いたり、その表現を見つめ、話し合ったりすることからはじめて、参加者自身が関心のあるテーマを設定し、記録から生まれる表現を探ります。
ワークショップは毎年夏に実施、その後、参加者有志による展覧会が同年度内におこなわれます。
ワークショップの流れ
1日目
「記録から生まれる表現について」のレクチャーや、聞き書きのワークショップを行います。後半では、アーティストによる「記録から表現をつくる」実践を見たあと、話し合い、自ら表現をつくることを試します。

2日目
江東区内の資料館にリサーチへ行き、実践者の話を聞いたうえで、それぞれに手を動かし、小さな展覧会をつくります。また、自分の関心や、今後のリサーチについて考えます。

上記2日間の活動をふまえて、各自で実践に取り組みます。それぞれ気になる人物に話を聞きに行ったり、資料を調べたりし、それをもとに各々の制作手法で表現をつくることに挑戦します。
3日目
自由相談日。各自実践に取り組む中で必要に応じ、ファシリテーターと話すことができます。オンラインも可能です。
最終日
各自の表現を持ち寄り、スタジオで設営します。お互いの作品を鑑賞しながら話し合います。
※前日を搬入作業日とします。

ファシリテーター
小屋竜平
1982年愛知県生まれ。東京藝術大学美術学部先端芸術表現科卒業。東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士後期課程満期退学。高崎経済大学非常勤講師。記号の現働化というプロセスにおける、一回性と普遍性の関係に関心を抱いている。ファシリテーターとして、東京プロジェクトスタディ「部屋しかないところからラボを建てる」2018に参加。コーディネーターとして「東京スーダラ2019―希望のうたと舞いをつくる」2020に参加。論文に『「空虚な」記号としての代名詞――エミール・バンヴェニストにおける「話者」、「意義作用」、「現実」の問題をめぐって』(『言語態 13号』、2014年)。
磯崎未菜(映像作家・シンガーソングライター/NOOK)
1992年東京都生まれ。特定の土地に根付く童謡や労働歌などを手がかりにしながら、場所に添う新たな〝うた〟を作るプロジェクトなど、うたう声と人びとの暮らしに興味を持ち作品制作をおこなっている。近年出展した主な展覧会「ナラティブの修復」(せんだいメディアテーク)。2023年から24年にかけてリトアニアの首都ヴィリニュスに移住し、旧ソビエト連邦からの独立を目的とした運動「歌う革命」のリサーチをおこなってきた。
瀬尾夏美(アーティスト/詩人/NOOK)
1988年東京都生まれ。土地の人びとの言葉と風景の記録を考えながら、絵や文章をつくっている。東日本大震災のボランティアを契機に、映像作家の小森はるかとのユニットで活動を開始。岩手県陸前高田市での対話の場づくりや作品制作を経て、土地との協働を通した記録活動をするコレクティブ「NOOK」を立ち上げる。現在は江東区を拠点に、災禍の記録をリサーチし、それらを活用した表現を模索するプロジェクト「カロクリサイクル」を進めながら、“語れなさ” をテーマに旅をし、物語を書いている。単著『あわいゆくころ――陸前高田、震災後を生きる』(晶文社)、『二重のまち/交代地のうた』(書肆侃侃房)、『声の地層――災禍と痛みを語ること』(生きのびるブックス)、共著に『10年目の手記』(生きのびるブックス)、『New Habitations: from North to East 11 years after 3.11』 (YYY PRESS)。
中村大地(劇作家・演出家/屋根裏ハイツ/NOOK)
1991年東京都生まれ。東北大学文学部卒。在学中に劇団「屋根裏ハイツ」を旗揚げし、8年間仙台を拠点に活動。2018年より東京に在住。現在も仙台・横浜・東京をゆるやかに行き来しながら、人が生き抜くために必要な「役立つ演劇」を志向した創作をつづけている。『ここは出口ではない』で第2回人間座「田畑実戯曲賞」を受賞。「利賀演劇人コンクール2019」ではチェーホフ『桜の園』を上演し、観客賞受賞、優秀演出家賞一席。『未来が立ってる』で、第14回せんがわ劇場演劇コンクール劇作家賞受賞。部屋というスケールから演劇を捉えなおす集まり #部屋と演劇 のメンバーでもある。