カロクリサイクル

KAROKU RECYCLE

カロクリサイクルとは?

カロク(=災禍の記録)を探そう。記そう。手渡そう。

災禍の歴史をたどり、記憶の地層を掘り起こす。
それらに向き合う人びとと出会い、話し合う。
自らカロクを記し、手渡す。

カロクをめぐる表現の実践と、災間期をともに生きる
ネットワークづくりの場。

展示会場の様子の写真
撮影:加藤甫

東日本大震災以降、東北を拠点に記録や表現の活動をしてきたわたしたちは、三陸沿岸が繰り返し津波に襲われる「災害常襲地」であることを実感してきました。また、気候変動が進むなか、世界中で、まちが破壊されてしまう規模の水害や土砂災害などが頻発し、同時に多くの地域が大変な被災リスクを抱えていることが報じられています。
そこでわたしたちは、各地に蓄積されてきた過去の災禍の記録=禍録(カロク)を読み込み、現在に応用するためのプロジェクトを立ち上げました。
かつて災禍を経験した人びとや、いままさに渦中で生きる人びとが残す記録(個人の日記から、絵画・詩・演劇・うたなどの表現、エッセイや論文、また地域や集落の記録……)は、目の前の惨状やそこから立ち上がってきたプロセスを未来に伝えようとする表現としても受け取れます。
また、予期せぬ災害の経験とその後の生活で起きるさまざまな問題、とりわけ、思わぬ形での喪失との向き合いかたや、コミュニティの再構築といった「災後」の暮らしに関する知見は、しばしば個別的な問題として捉えられ、他者に共有されにくいものです。そうした目に見えづらくなりがちな個人の営みやコミュニティの小さな実践を、残された記録/表現を見つめるところから始めたいと思います。

カロクを見つけた。記している。手渡したい。
ちょっと興味がある! などなど、みなさんのご参加をお待ちしています。

活動内容

リサーチ

「カロク採訪記」

街を歩く人々の写真

東京の災禍の歴史をたどり、人びとと出会い、記憶の地層を掘り起こす。複数人で東京都内のさまざまな施設・団体を訪れ、ヒアリングや資料調査を通じて、レポート記事やエッセイを作成しています。

配信番組

「テレビノーク」

番組を配信する様子の写真

月一回程度、NOOKの瀬尾夏美と中村大地がリサーチや活動の内容、そこから気づいたことを話す配信番組です。カロクに関わるゲストを招き、その経験や考えをもとに語らいます。

展覧会

「語らいの記録2011-2022」

カロクリサイクル 語らいの記録 2011-2022

NOOKがこの10年あまりの間に東北/東京で実践してきた記録と表現の手法をご紹介するとともに、東日本大震災に関わるアート活動のドキュメントの品々を展示し、あらためてそれらの記録や表現に向き合い、これからを思考し対話するための場をつくりました。

ワークショップ

「記録から表現をつくる」

震災についての話を聞く人々の写真

残された記録を見る、あるいは記録をすることから新たな表現をつくるワークショップ。過去の記録をつかった表現を実践する人に話を聞いたり、その表現を見つめ、話し合ったりすることからはじめて、参加者自身が関心のあるテーマを設定し、記録から生まれる表現を探ります。
2022年夏に実施したワークショップの参加者たちは、その後も継続的に集まって進捗を報告し合いながら、2023年3月には展覧会を開催しました。ワークショップは毎年夏に実施予定です。

対話の場

「カロク・リーディング・クラブ」

机を囲んで話し合う人々の写真

過去の災禍の記録や、それに関わる表現(映画、絵画、戯曲、手記、小説など)をみんなで囲み、それぞれが考えた・感じたことをあれこれ話してみる対話の場。同じ記録を東京と中継地点で同時に読み込み、お互いの会場でどんな言葉が交わされ、どんな気付きや発見があったのかを、オンラインでつないで共有します。
離れた地点をつないだゆるやかな対話から、互いの異なる部分や似ているところを発見する楽しみをぜひ。今後も題材や中継会場を変えて実施予定。

勉強会

勉強をする人の写真
zoomの画面

リサーチの過程で出会った人や団体と継続的に勉強会を開きます。レクチャーを聞いたり記録物を読み込んだりしながら対話を深め、協働の方法を探り、展覧会やイベントなどのアウトプットにつなげていくことを目標とします。

Studio04

拠点の入口のイメージ画像

江東区内にコミュニティ交流拠点「Studio04」(スタジオゼロヨン)を整備中です。2023年夏ごろオープン予定。リサーチの拠点として活用しつつ、ワークショップや展覧会、配信事業なども行います。

NOOKについて

東日本大震災以降、仙台市内や三陸沿岸各地で、リサーチ、記録、表現活動を行ってきたアーティストや研究者らによるコレクティブ。市民や表現者、公共団体、NPO団体などと協働したリサーチを重ね、共に対話の場を設え、そこで起こるさまざまな事象を、映像やテキスト、写真といったメディアを用いて記録・表現をしています。メンバーは、瀬尾夏美、小森はるか、中村大地、磯崎未菜、佐竹真紀子、細谷修平、八木まどか。