ここで眺める、水俣 そして能登

写真家の森田具海(もりた ともみ)氏による写真展「ここで眺める、水俣 そして能登」を開催します。2016年より水俣に通い写真記録を続けていた森田は現在、水俣のまちに暮らしながら生活者としてその風景を記録しつづけています。本展ではそうした水俣の写真とともに、能登半島での地震被害の記録写真をあわせて展示します。
現在に〈かつての風景〉はどのように息付き、映されているのか。写真を見ながら考え、想像していただけたら幸いです。

作家コメント
水俣湾と不知火海を一望できる岬、明神崎から渚に向かうように降りてゆく。
すると「エコパーク水俣」と呼ばれている公園に辿り着きます。
約58haの海だった〈この場所〉は、1970年代半ばから1990年にかけて、水俣病の原因物質を含むヘドロと、汚染された魚介類を埋め立てて作られました。
だんだんと〈かつての風景〉を知る世代が減っていく水俣で、わたしは、水俣湾埋立地と浜を日々うろうろと歩いています。
水俣の見えなくなりがちな記憶をたぐりよせるようにして、手に触ることができないとしても、人の話を聞いて浮かび上がってく風景や、〈この場所〉が海であったことを示している「あこうの木」などを巡りました。
ここで眺める風景が、こんなにも人によって違うということを不思議に思いながら、それが無数の人びとと一緒に眺めることができるような場にもなり得ることの可能性も、その土地で暮らす人たちの視線や、場所との情緒的な結びつきから感じてきました。
本展では、水俣湾の埋立地や浜、岬の風景、「あこうの木」などの、水俣で生活しながら切り取った写真に加えて、能登半島地震の被災状況を写した記録も展示します。
一人で記録するにはとても追いつかない能登の各地の風景を、これからも多くの人たちとともに記録していきたいです。
一日一日の風景から、その先の眺めへ。
過去がどのように現在や未来に息づいているのかを、どなたとでも一緒に、写真を見て想像してゆけたら嬉しいです。
*「あこうの木」について
明神崎に生える「あこうの木」の根は水俣湾の海水を吸っているとされます。
あこうを見ることが水俣湾を見ることでもあるのだと知り、少しずつ変化してゆくこの木を定点観察したいと思いました。
※プログラムは変更になる可能性があります。